2003.6.9
先週末は、串本で潜ってきました。台風4号、5号のおかげか水温がグッと上がって24度になっていました。朝の満潮時は水の色もとっても青くきれいで、透明度もかなり良かったです。水温が高くなると、水中は、恋の季節花盛り、あっちでスズメダイのメスはオスに色目をつかったり、キンギョハナダイのオスはメスにアタックしたり、あちらこちらでウッフ〜ン、アッハ〜ンと恋のバトルが繰り広げられています。写真は、島廻りのクマノミの産卵の様子です。メスが掃除をした岩肌に卵を一粒一粒ていねいに産み付けて、時折オスが精子をかけて受精させます。こうやって産み付けられた卵は約2週間で孵ります。稚魚が孵るとクマノミの親はまた卵を産み、また2週間で孵り、そしてまた産み、そんな繰り返しを9月過ぎまで繰り返し繰り返し産卵します。卵から孵った稚魚は、そのまま浮遊生活に入りますが、そんなに沢山の卵から産卵できるような大人になる確率は2匹くらいといわれていますから、なんだかちょっとセンチになってしまいます。しかし、だから、せっせ、せっせと産卵を繰り返さないと子孫を残すことができないわけです。
この写真は今まさに メスの卵管から卵が産まれるところです今までクマノミの卵は何度も見たことはありましたが、産卵の瞬間を見たのは、初めてだったので、ちょっと感動してしまいました。でも、この卵達は産まれた瞬間から様々な受難が待っています。
とにかく冬の間はイソギンチャクの周りには、クマノミやミツホシクロスズメしか見ないのですが、卵の周りにはエッグイーターのベラやカサゴが親の隙をうかがって卵を食べようと集まっています。
こちらは、ハッチアウト寸前と思われるクマノミの卵です。もうほとんど魚のかたちになっています。多分、今晩ぐらいには、殻を破って危険な大海原へと旅だっていくんだろうと思います。こうした、様々な生き物の輪廻がいっぱいに重なった豊饒さが、いつまでも続いていってほしいと願うのは、僕だけではないはずだと、おじさんはちょっとセンチになってしまいました。

上2カットは50ミリで撮りました。環境を入れて、撮るのには35ミリ換算70ミリぐらいになるこのレンズは、うまくはまるような気がします。が、キャノンさん、早くUSMの50ミリマクロを作ってほしいなぁ。下の写真は100ミリで撮りました。ちょうどストロボの電池が無くなったので、ISOを1000にして、開放で撮りました。ちょっとぶれてしまいましたが、ハッチアウトを待つ稚魚たちのざわめきが聞こえてくるような不思議な雰囲気になったと思いません?