2003.2.6
串本では、かなりの確率で見ることのできるキンチャクガニ。彼らは、普通サンゴのガレ場にサンゴのかけらの裏側に隠れています。イソギンチャクをハサミで挟んで外敵に向け、難を逃れようとします。指を近づけると指にイソギンチャクを押し当てようとします。3年ぐらい前に初めて見たときは、ものすごく興奮しました、やっぱり2月頃16度ぐらいの冷たい海で50分を超えようかとするダイビングでしたがこのカニを見た瞬間、寒さは一遍に吹き飛びました。甲羅の大きさが1センチほどの小さなカニで、また本当にちょこまかと動き回り、なかなかうまく撮れません。何度も出会ってやっと画面一杯にとらえる事ができるようになりました。この日は水温約17度。前日まで3日間ほど14度だったこともあり、この日の彼の動きはとてもスローでした。それにしても、この厚化粧のチアガールのようなカニは、どうしてこのイソギンチャクを持っているのかなぁ?などと考えると夜も寝られなくなってしまいます。(どうせ、考えても分かりませんけどね。)前に聞いた話ですが、このハサミでつかんでいるイソギンチャクは「ハサミイソギンチャク」といって、キンチャクガニと一緒にしか見つかっていないらしいのです。「ハサミイソギンチャク」だけでは見つかったことがないらしいです。卵からかえって、浮遊生活から着底した、彼らの幼体が、この広い海の中でどうやって「ハサミイソギンチャク」と出会うのか、考えれば考えるほど不思議でいっぱいです。僕は何度もこのカニを見ていますが、今までイソギンチャクを持っていないキンチャクガニは、見たことがないんで、なんか、彼らだけが知っている秘密のハサミイソギンチャクの基地があるんでしょうね。深いところにいるカニじゃないんで。サンゴの奥の人間の目が届かない場所にハサミイソギンチャクの花園があるんだろうか・・・・?そうやって僕の好奇心と想像力はどんどんとふくらんでいくのです。そうして、またひとつ深みにはまっていくのです。(EF100ミリの最短で撮影)