2006.4.15
串本は、サンゴの群生としての北限です。黒潮に乗って暖かい潮が流れ込み沿岸や沖の根にはサンゴがすくすくと成長していました。(と、過去形なのは、一昨年の大型の台風によって沿岸部のサンゴが随分と壊れたのと2年ほど前からのオニヒトデの食害などによって、いまや風前の灯火といっていいかもしれません。)サンゴは、ご存じの通り、無数のサンゴ虫に集合体で、その表面共生する褐虫藻の光合成のエネルギーと自らのポリプで捕まえたプランクトンで成長します。そのため、十分に日の光が届かない深い海や汚れた海ではあまり育つことができません。そして、海水から吸収したCO2を石灰化し、骨格に利用しています。地球に生命が誕生したばかりの頃にこのサンゴ虫の仲間で海水の中のCO2を石化してそれを骨格に利用する原始的な生命が生まれたのが、この地球が、平均気温約15度の暑くもなく寒くもない、命あふれる惑星になる始まりだったのです。そして、何億年のも気の遠くなる年月をかけて、海水の中のCO2を石化させ、また空気中のCO2が海水の中にとけ込み、葉緑素を持つプランクトンの光合成によって発生する酸素が空気中溢れ、太古のCO2が90%超の空気が徐々に今の窒素78%、酸素21%の今の空気へと変わっていったのでした。
そんなことをぼんやりと考えながら、この立派ななサンゴたちを見ていると思わず手を合わせたくなってしまいます。

15ミリで撮りました。06年4月オレンジハウス前で撮影しました。